物件の付加価値を
向上させる
スマートホームサービスの導入を検討する際、初期費用や機能に目が向きがちですが、実際に運用が始まってから「入居者からの問い合わせに誰が対応するのか」「退去時に何をすればいいのか」といった点で悩むケースは少なくありません。
本記事では、スマートホーム導入後に発生する作業と役割分担、フェーズごとに必要なサポート内容、サポート面から見たサービスの選び方を解説します。
スマートホームは、設置して終わりではありません。入居者が使い始めてから退去するまで、さまざまな対応が発生します。まずは、導入後にどのような作業があり、誰が担うことが多いのかを整理しておきましょう。
| タイミング | 管理会社・オーナーが行う主な作業 | 提供会社に任せられることが多い対応 |
|---|---|---|
| 導入前 | 導入する機能・機器の決定、インターネット環境の確認 | 仕様の提案、機器の選定、販売・募集時のPR支援 |
| 入居時 | 入居者への利用案内(資料の配布など) | アプリの初期設定の仕組みづくり、使い方の案内 |
| 入居中 | 建物設備全体の点検・修繕の手配 | 操作方法に関する問い合わせ対応、アプリ・機器のアップデート |
| 退去・入れ替え時 | 退去立ち会い、機器の残置・破損の確認 | 前の入居者の利用データ・アカウントの消去、次の入居者への引き継ぎ |
| トラブル時 | 入居者からの連絡の受け付け(窓口を分けていない場合) | 不具合の切り分け、機器の交換・修理対応 |
※役割分担はサービスや契約内容によって異なります。導入前に、どこまでを提供会社に任せられるのかを必ず確認しましょう。
提供会社に任せられる範囲が広いほど、管理会社の日常業務を増やさずにスマートホームを運用できます。以降で、フェーズごとに確認しておきたいサポート内容を詳しく見ていきます。
どの機能・機器を導入するかは、物件のコンセプトやターゲットによって変わります。提供会社によっては、企画段階から仕様のすり合わせ、販売・入居者募集時のPRまで支援してくれる場合があります。
分譲マンションであればモデルルームでの見せ方、賃貸物件であれば募集図面やWebサイトでの訴求方法など、導入効果を引き出すための支援があるかも確認しておきましょう。
入居者がスマートホームを使い始めるには、アプリの登録や機器との接続などの初期設定が必要です。この作業を入居者任せにすると、「設定が分からない」という問い合わせが管理会社に集中しかねません。
機器を設定済みの状態で引き渡し、入居者はQRコードを読み込むだけで使い始められるなど、入居者の初期設定の手間を減らす仕組みがあるサービスを選ぶと、入居時の対応がスムーズになります。使い方のマニュアルや動画が用意されているかもチェックポイントです。
入居中に最も多く発生するのが、「操作方法が分からない」「機器が思うように動かない」といった入居者からの問い合わせです。こうした問い合わせを提供会社が直接受け付けてくれるか、電話・メール・チャットなど窓口の種類はどうなっているかを確認しましょう。
また、スマートホームを構成するアプリや機器は、新機能の追加や不具合の修正、セキュリティ対策のために定期的なアップデートが行われます。アップデートの頻度や、入居後に機能が追加される仕組みがあるかも、長く使ううえで大切なポイントです。
入居者が入れ替わる際は、前の入居者のアカウント・利用履歴・スマートロックの鍵の権限などを確実に消去する必要があります。消去が不十分だと、前の入居者が機器を操作できてしまうなど、セキュリティ上の問題につながりかねません。
退去のたびに管理会社が機器を一つずつリセットするのは大きな負担です。次の入居者が利用を開始すると前の利用情報が自動で消去される仕組みや、管理者が管理画面から消去できる機能があると、入れ替え時の作業を大きく減らせます。あわせて、機器の残置や破損がないかを確認する手順も決めておきましょう。
システム障害や機器の故障、ネットワークの不具合など、スマートホームを運用するうえでトラブルが発生する可能性はゼロではありません。トラブル時に慌てないよう、次の点を事前に確認しておきましょう。
特にスマートロックや防犯カメラなどは、物件の安全性に直結する機器です。電池残量の通知機能や、スマホ以外の解錠手段があるかもあわせて確認しておくと安心です。
ここでは、法人向けスマートホームサービスのサポート体制の例を紹介します。導入前の支援から入居者対応、入退去時の対応まで、各社の公式サイトに記載されている内容をフェーズごとにまとめました。
※サポート内容は各社の公式サイトに掲載されている情報をもとにしています。詳細や最新の情報は、各社へお問い合わせください。(2026年10月時点)
| フェーズ | サポート内容 |
|---|---|
| 導入前 | 企画立案、仕様のすり合わせ、入居者向けのPR支援 |
| 入居時 | 機器は設定済みで引き渡し。入居者はQRコードを読み込むだけで利用を開始できる(QR-Link) |
| 入居中 | 入居者からの問い合わせにサポート専門スタッフが電話・メール・チャットで対応。毎月のアップデートで機能を追加・改良 |
| 退去・入れ替え時 | 次の入居者がQRコードを読み込むと、前の利用情報はすべて消去。管理者による手動消去も可能 |
| トラブル時 | インターネットが切れたり機器を外したりしても、従来どおりの家電操作が可能 |
| 導入後の運用支援 | 使い方相談やIoT勉強会など、導入後も伴走するアフターフォロー |
eLifeでは、入居者からの問い合わせをリンクジャパンがすべて対応するとしており、管理会社が機器の操作方法に関する問い合わせを抱え込まずに済む体制になっています。入居者がQRコードを読み込むだけで利用を始められ、退去時のデータ消去も自動で行われるため、入居時・退去時の管理会社の作業を抑えられるのが特徴です。
| フェーズ | サポート内容 |
|---|---|
| 導入前 | 物件のコンセプトに応じた機器提案やスマートホームプランづくり、導入デバイスの選定・設置をサポート |
| 入居時 | 各デバイスの設定作業を一括で対応。入居開始までに機器とアプリの連携を完了し、シーンのプリセット設定にも対応 |
| 入居中 | 入居者からの問い合わせに無償で有人対応 |
| 退去・入れ替え時 | 入退去をプラットフォームで一括管理し、前の入居者のアクセスを防止 |
| トラブル時 | 駆けつけサポートにも対応 |
| 管理者向け機能 | 物件・ユーザー・設置機器に関する情報を統合管理 |
HOMETACTは、入居開始までに各デバイスの設定を済ませておくことで、入居者がすぐに利用を始められる体制を整えています。入居後は年中無休のコールセンターで入居者からの問い合わせに対応しています。
| フェーズ | サポート内容 |
|---|---|
| 導入前 | 物件の図面や活用コンセプトをもとに機器の選定と設置案を作成。販売・賃貸用の基本資料の作成や、プロモーションの支援も実施(一部有償) |
| 入居時 | サポートサイトで、機器やアプリの利用方法をまとめたマニュアルを提供 |
| 入居中 | 担当者・居住者からの問い合わせをメールや問い合わせフォームで受け付け、専任スタッフが対応 |
| 退去・入れ替え時 | 賃貸向けの「SpaceCore Pro」では、退去時に入居者アカウントを自動でリセット。空室時は内見用のワンタイムキーを発行できる |
| トラブル時 | 機器の不具合の調査にも対応 |
| 管理者向け機能 | 入居者とのチャットやお知らせ配信を管理システムで一元管理 |
SpaceCoreは、賃貸向けの「SpaceCore Pro」で、退去時のアカウントリセットや内見用キーの発行を管理システムから行えるのが特徴です。入居者とのやり取りをチャットでまとめられるなど、管理業務を効率化する機能を備えています。
同じ「導入後のサポート」でも、入居者対応の窓口や入退去時の対応方法はサービスによって異なります。自社の物件や管理体制に合わせて、どの部分を提供会社に任せたいかを整理したうえで比較しましょう。
スマートホームサービスを比較する際は、次のポイントをチェックしておくと、導入後の運用で困りにくくなります。
| チェック項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 入居者対応の窓口 | 入居者からの問い合わせを提供会社が直接受け付けるか。窓口の種類(電話・メール・チャット)と対応時間 |
| 入居時の設定 | 入居者が簡単に使い始められる仕組みがあるか |
| 入退去時のデータ管理 | 前の入居者の利用データや鍵の権限を、手間なく確実に消去できるか |
| トラブル時の対応 | 故障時の連絡フロー、遠隔サポート・出張対応・交換の有無 |
| アップデート | アプリや機器が継続的にアップデートされるか |
| 費用 | サポートが月額料金に含まれるか、保守や交換に別途費用がかかるか |
スマートホームサービスによっては、初期導入時のサポートや一定期間の無償保証が付帯していることがあります。長期的な運用を想定している場合は、延長保証や保守契約などの有償サポートの内容も確認しておくことが大切です。
初期費用だけでなく、月額費用や保守・交換にかかる費用まで含めたトータルのコストで比較しましょう。導入費用の考え方については、以下の記事で詳しく解説しています。
同じような規模・種類の物件での導入実績があるかも、サポート体制を見極める材料になります。導入事例で、導入後の運用がどのように行われているかを確認しておくと、自社の物件で導入した場合のイメージがつかみやすくなります。
サービスによって異なります。提供会社が入居者からの問い合わせを直接受け付けるサービスであれば、管理会社が操作方法などの問い合わせに対応する必要はほとんどありません。導入前に、問い合わせ窓口の範囲を確認しておきましょう。
前の入居者のアカウントや利用データ、スマートロックの鍵の権限などを消去する必要があります。次の入居者の利用開始時に自動で消去される仕組みがあるサービスなら、管理会社の作業を減らせます。あわせて、機器の残置や破損がないかも確認しましょう。
サービスや機器によって異なります。たとえばeLifeでは、インターネットが切れた場合でも従来どおりの家電操作が可能とされています。通信障害時の動作は、導入前に提供会社へ確認しておきましょう。
スマートリモコンやセンサーなど、コンセントに挿すだけで使える機器が中心のサービスであれば、大がかりな工事は不要な場合があります。一方、電気錠や住宅設備と連携する場合は工事が必要になることもあります。詳しくは以下の記事をご覧ください。
スマートホームサービスを導入する際は、機能や初期費用だけでなく、導入後に誰が何を担うのかまで確認することが大切です。入居時の設定、入居中の問い合わせ対応、退去時のデータ消去、トラブル時の対応など、フェーズごとに必要なサポートを整理しておきましょう。
入居者対応や入退去時の対応を提供会社に任せられるサービスを選べば、管理会社の負担を抑えながら、長期にわたって物件の価値を高めることができます。
当メディアでは、スマートホームのサポートに関する知識の他にも、スマートホームに関する基礎知識をまとめています。スマートホームサービスの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
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